第26回 釣り場におけるゴミについて

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第26回目の波止釣り講座は、年々深刻化するゴミ問題のお話です。釣り場のゴミについては第23回目の講座でも簡単に触れましたが、釣りのマナーの中でも非常に大事な問題ですので、再度詳しくお話しをしていきたいと思います。

gomi

 

~波止でのゴミ問題について~

大阪に住んでいる私は、休日になるとよく大阪湾岸の波止へ釣りに出かけます。途中、道路沿いの大型釣り具店でエサを購入していくのですが、そのどえらい人(客)にはいつも驚かされます。「この人たちは、いったいどこで釣っているんだろう。もし、この人たちがポイントへと集中して、ゴミを捨てようものなら、その釣り場はたいへんなことになっているだろうなぁ」と、考えただけでも恐ろしくなる時があります。釣りのルール・マナーが徹底されていない現状では、釣り人の増加=ゴミの増加という悪夢は避けられません。

「ゴミを持ち帰るのは当たり前」

 

と意識する、釣り人ひとりひとりの心がけに任せるしか打開策はないのです。

ちなみに、僕が釣り場でよく見かけるゴミの種類はというと

 

1.タバコの箱や吸い殻

2.仕掛け(糸・針・オモリ)

3.オキアミやアミエビなど、エサのパック(中身が入っている時もある)

4.弁当のパック

5.ペットボトル(500ミリボトルについては、最近特に多い)

6.ジュースなどの空缶

7.ビニール袋

8.外道の小魚(なんということを…。信じられません)

などといったものたちです。

以上の8項目を見ていただいてお気づきの方もおられると思いますが、釣り場で放置されるゴミであるにもかかわらず、「コンビニエンスストア」で買ってこられた食品類のゴミが非常に目立ちます。「コンビニ」の出現が釣り場のゴミ環境を大きく変貌させたのではないでしょうか。

(コンビニが悪いのではなく、そのゴミを捨てる釣り人が悪いということです。表現が悪くて申し訳ありません。)

この中でも特に、最近急増しているペットボトルなど、プラスチック製品は海中でも腐敗することがありません。誰かが取り除かないことには永久に残存することになってしまいます。

また、数年前の梅雨頃だったと記憶していますが、大和川(大阪府)河口の埋め立て地で釣りをしていたところ次々と流れてくるゴミを目にしました。

コンビニの袋から始まり、洗面器、ダンボール箱、サッカーボール、タイヤ、

BSアンテナ、さらには工事現場でオッチャンが車の誘導に振り回しているあの赤く光る棒やパイロンまでも流れてくるのです。

ウキ釣りをしていたのですが、それらのゴミが邪魔で釣りにならず激怒して帰宅したという思いでもあります。

保護水面

 

大阪の恥となるのであまり言いたくありませんが、大和川は残念なことに、日本一汚染された河川です。このことについては、長年による流域住民(僕もそのうちの1世帯ですが…)の生活排水や原因となってこんな状態に追い込んでしまったのです。現在は自治体の努力により、水質はかなり改善されています。

波止の上で目に見えているだけでもこれほどのゴミが落ちているのですから、海底では、どうなっているのか…?

想像したくもありません。おそらく、想像を絶するほどのさまざまなゴミが何重にもなって積もっていることでしょう。

実際のところ、「海では潮が流れているでしょう。だから、少しくらいゴミ捨ててもどこかに流れてしまうから大丈夫!」などと、とてつもなく安易な考えの釣り人が多いことには驚かされます。

結論から言うと、よほど潮通しの良い(潮の流れが速い)場所でない限り、投棄されたゴミは海底に沈むか、ビニール袋など軽いものについてはテトラポットの隙間に溜まってしまいます。

特に、波止の曲がり角内側については流れがよどんでいるため、非常にたくさんのゴミが溜まってしまうのです。

大都市圏における港湾付近の釣り場では汚染が進んでいます。

工場排水など、汚染の原因は他にもあるため、一概に釣り人だけの問題とは言えませんが。ゴミの投棄により、釣り人は自分で自分の首を絞めたりすることがないよう、環境面については、特に心がけてほしいものです。

また、「海釣り公園などの管理施設では、ちゃんとゴミ箱が設置されているのに、一般の波止では、なぜゴミ箱がないんだろう?」皆さんの中で、そういった疑問を抱かれたことはございませんか。

ご家庭のゴミは一定の曜日に一定の場所へ置いておくと、自治体の清掃車がやってきて、ゴミを持っていってくれますよね。しかし、波止の釣り場ではそういったシステムなどは全くありません。

マリーナ4

 

第1回の講座でもお話しいたしましたが、波止は本来、停泊する船の安全を守ったり、港湾施設を良好な状態に維持するため、自治体等によって管理された公共施設の一部なのです。決して釣りの目的のために作られたものではありません。そこで釣りをすることは、「黙認」という立場が取られているのです。そのため、自治体等においては、港湾施設(波止)で釣りをするなどということは最初から想定されていませんので、そこでゴミが出ることなどは問題外なのです。

仮にゴミを回収するようなシステムをつくってしまうということになれば、波止本来の建設目的から外れ、釣りをするといった行為を認めてしまうことになってしまいます。

このような理由から、波止にではゴミは設置されないのです。

katakou

 

~釣り糸公害について~

釣りをしていて一番気の毒に思うのが、野鳥です。彼らはまさに、釣り人たちの犠牲者と言えるでしょう。捨てられている釣り糸が鳥の足に絡みつくと、鳥は羽根をバタバタさせ糸を振るい払おうとしますが、もがけばもがくほど糸は足深く食い込んでいきます。そうなると、やがて足は腐ってちぎれ、エサを獲ることができなくなり死んでしまいます。中には糸に絡まって、もがいている時に猛禽類に襲われたりする場合もあるそうです。

みえの自然楽校ページを見て下さい。

本当に悲惨な鳥たちが私たち釣り人に訴えかけているのが良くわかります。

地域でこういった取り組みをして下さっていることは、ひとりの釣り人として本当に感謝です!

我々、釣り人は決して忘れてはならない実態なのです。

釣り人、個人個人が常に意識をして取り組まなければならない問題であります。

平磯西向き

 

 

~ルール・マナーのまとめについて~

18回目から今回までの講座においては、釣りの技術から少し離れたことをお話しさせていただきました。

「釣りを楽しむ上で大切なことは何か」ということがお分かりいただけたでしょうか。

たかが、遊びの釣りといっても常に危険と隣り合わせ。安全知識やルール・マナーが本当に大切なことだとご理解いただければ幸いです。

今や大衆レジャーとなった「釣り」は、若年から老年まで非常に幅広い年齢層の人に楽しんでもらえます。その人口は現在、全国において数千万人を超えるものと推定されています。

特にここ近年、一種のファッションとも言える「ルアーフイッシング」や比較的お金を費やすことなく楽しめる「ファミリーフイッシング」のブームが到来したことにより、今後も年を追って釣り人口が増加することはまちがいありません。

釣りがこれほどまでにブームとなった以上、「ルール・マナーを守ることは当たり前」の時代でないといけないのです。

漁船5

しかし、都市圏の釣り場でもお分かりのとおり、釣り人の数=ゴミの数といった状況の中、現行では未だ「ルール・マナーの不確立・不徹底」といった点が非常に目立ちます。

釣りにハマっている少年たちを見ていると、「魚を釣る技術や知識だけの向上」を目指しているのが良く分かります。

もちろん、それも大事なことかもしれませんが、ルール・マナーを守らないことにはやがて、

釣り場環境が破壊される→魚がいなくなる→釣りができなくなるといったことになってしまうのです。

釣りを始める方、続けていく方にとっては、この点をしっかりと理解していただくことの方が大切です。魚がいなくなり、釣りができなくなってしまったのでは技術もなにもあったものではありませんので。

また、ルール・マナーの徹底については、釣りを伝えるメディアにも大きな問題があると思います。「フイッシュ・オン!」とか「ゲット!」などの言葉を連発している釣り番組もあるようですが、「技術を魅せる釣り」だけではいけないのです。ルール・マナー面についてもしっかりと釣り人に知らせる必要があるのです。

更に言わせてもらうなら、皆さんが釣りを始めるきっかけとなった要因は、「テレビで釣り番組を見て」、「友人に勧められて」、「父親に連れられてと」、さまざまですが、いずれのケースでもフィールドへ出るまでには必ず「釣具店」という門をくぐることになろうかと思います。また、釣りにハマってしまえばこの門をくぐる回数も自動的に増えてくることにもなります。

そのため、釣具店のスタッフにも釣り具や技術の説明にあわせ、ルール・マナーに関する指導をしてもらえれば入門者の段階から知識のひとつとして植え付けることができるのです。できれば、釣り団体で作成しているマナーに関するパンフレットなどを徹底して配布していただければよいのですが…。(最近では、各メーカーや釣具店の主催による釣りセミナーなどでルール・マナーなどは詳しく解説していただいているところもあると聞いてホッとしています。)

turimanar

メディア関連や釣具店など、これらの方々にご協力をいただき、更に我々「釣りインストラクター」と称されている者たちが、各地域において地道な努力を継続していけば、やがて釣り業界も整備され、後世に残るきれいな釣り場、明るい将来が見えてくることでしょう。

そうなることを心より祈念しております。