第24回 漁業者との調和について

27

釣りを楽しむ以上、漁を仕事としておられる漁業者とのトラブルは絶対に避けなければなりません。今回は漁業者との調和や漁業法・漁業権に関するお話しをさせていただきます。

~漁業者との調和について~

魚を捕って生計を立てている人たちを「漁業者」と呼ぶのに対し、魚を釣って遊ぶ釣り人たちのことは「遊漁者」と呼ばれています。釣りが年々盛んになり、釣り人(遊漁者)が増える一方、全国各地では漁業者とのさまざまなトラブルが発生しています。そのため、私たち釣り人も漁業制度を正しく理解することが必要です。また、釣りを楽しむ以上、常に漁業者との調和を心がける時代が到来していることも認識するべきでしょう。

なお、前回も触れましたが、漁業者の漁具などには一切、手を触れないこと。また、漁港に立て看板や張り紙などがあれば目を通し、ルールは必ず守るようにして下さい。

漁具1

wakayama3

 

 

~漁業法及び漁業権について~

漁業法は、漁業の生産に関する基本的なことを定め、水面を総合的に利用して漁業生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化を図ることを目的としたものです。同法では、漁業権、漁業調整等に関する事項が定められています。

漁場の利用という点では、釣りの分野にも深くかかわってきますので、私たち釣り人も漁業法及び漁業権の概要ぐらいは勉強しておく必要があります。

~漁業権とは~

行政庁(知事)の免許によって設定された一定の水面において、排他的に一定の漁業を営むことのできる権利を「漁業権」といいます。

漁業権は、以下の3種類に分類されています。

a.定置漁業権

漁具を定置して営む漁業で、身網の設置される場所の最深部が最高潮時において、水深27メートル(沖縄では、15メートル)以上のもの及び北海道におけるサケ漁などのこと。定置漁業権は、定置網漁業の中でも、大型のものだけが対象となります。

 

b.区画漁業権

水面を区画して行う漁業であるので「養殖業」のことを「区画漁業」と呼んでいます。区画漁業には、養殖の方法により以下の3種類に分類されています。

第1種区画漁業

ノリ、カキ、真珠などの養殖業。

第2種区画漁業

築堤式及び網仕切り式養殖業。魚類・えびの各養殖業。

第3種区画漁業

第一種及び第二種以外の養殖業。地まき式の貝養殖業。

 

c.共同漁業権

共同漁業権は一定の漁場を共同に利用して営むということです。一般的には、漁業協同組合または漁業協同組合連合会が漁業権を有しており(漁業協同組合に免許されるということ)、組合で作った「漁業権行使規則」に基づいて組合員がその漁場を使用することをいいます。この漁業権は、以下の5種類に分類されています。

第1種共同漁業

コンブ・アワビ・イセエビなど、藻類・貝類・定着性の水産動物を目的とする漁業

第2種共同漁業

建網・小型定置網・イカナゴ袋待網など、網漁具を移動しないようにして営む漁業

第3種共同漁業

地引き網・地こぎ網など無動力船を使用する漁業及び飼付または突磯漁業

第4種共同漁業

寄魚漁業・鳥付こぎ漁業

第5種共同漁業

淡水(川・池)において営む、アユ・コイ・ワカサギ漁業

 

 

~漁業権の侵害について~

漁業権の侵害とは、具体的に次のようなことをいいます。

現場に敷設または使用中の漁具や養殖施設を毀損(きそん)する行為

現に行いつある、またはまさに行おうとする操業を妨げる行為漁場内において、漁業権の内容と同じ漁具・漁法によって採捕または養殖する場合

漁業権の内容となっている水産動植物の採捕を行った結果、棲息等を害し、その漁場の価値を量的または質的に著しく減少させる場合

漁場内の土砂の採取、水質の汚濁、魚類の来遊を妨げる工作物の設置等、これらによって明らかに漁場価値の減損となる場合以上のように、権利者の漁業を直接妨害することが明らかな場合は侵害行為となります。ただし、侵害行為があった場合でもこれを「容認」するか「排訴」するかは権利者に任されています。

分かりやすく説明すると、例えば、第1種共同漁業権の内容となっているアワビ・サザエ・イセエビなどを漁業権者である組合に断りなく捕れば、漁業権の侵害となるということです。また、「潮干狩」などは第1種共同漁業権である貝類を採捕しますが、権利者が受認の範囲内(料金を徴収する)として許している場合が多いようです。

なお、参考までにお話しておきますと、淡水における第5種共同漁業権については、指定された魚種(アユが最も有名です)を、釣る場合には遊漁規則に基づいた「入漁料」といったものを組合に支払う必要があります。しかし、指定されていない魚種を釣る場合には「入漁料」を支払う必要はありません。(アユは指定されているが、同じ場所でアユ以外の魚を釣る場合には、入漁料を支払う必要がないということです。)

ちなみに、現在のところ海面で魚を釣る場合には、「入漁料」といったものを支払う制度はありません。(波止の清掃協力金や海釣り公園の入場料は除く)

しかし、近年、重要視されている水産資源の問題によって、将来は、海釣りにおいても「入漁料」や「ライセンス」といったものが導入される時代が到来するかもしれません。

 

漁業者と遊漁者の立場の違い

漁業者

定義・水界生物を採捕し、販売することを生業とする者

組織・漁業協同組合に所属しなければならない

地域性・特定地域に居住し、特定漁場を操業の場とする

規則・漁具、漁法などについて、法規・条令により規制を受ける

船舶・漁船の隻数・大きさ・馬力などに厳しい制限がある。

漁獲量・魚種によっては、年間総漁獲量の割り当てが決められる

 

遊漁者(釣り人)

定義・趣味として、水界生物を採捕することを楽しむ

組織・遊漁団体に所属するかどうかは、自由意志による特定漁場にこだわらず

地域性・漁具・漁法などについては、全く規制がない

規則・随時・随所で操業する

船舶・使用船舶について、漁業法規上の制約はない

漁獲量・漁獲量については、一切制限なし